簡易課税制度
中小企業の事務負担を考慮して、簡便的に消費税を計算する簡易課税制度という制度があります。これは、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の課税期間について、税務署へ簡易課税選択届出書を提出した場合に適用されます。
計算方法は、その課税期間の課税標準額に対する消費税額から売上対価の返還額等の金額にかかる消費税額の合計額を控除した金額に、みなし仕入れ率を乗じた金額を仕入控除税額とみなし、計算します。
このみなし仕入れ率ですが、業種によって5種類に分かれており、
第1種事業・・・90%(卸売業)
第2種事業・・・80%(小売業)
第3種事業・・・70%(農林漁業・建設業・製造業・水道業など)
第4種事業・・・60%(飲食業・金融業・1〜3、5の各種事業以外の事業)
第5種事業・・・50%(不動産業・飲食店以外のサービス業など)
となっています。
1つの企業が複数の業種の取引を行っていることは頻繁にあることで、この場合は計算がやや複雑になります。ただし、特例として、1種類または特定の2種類の事業の課税売上高が全体の課税売上高の75%を占める事業者については、みなし仕入れ率の適用にあたっては、特例による計算も認められています。
事業区分を間違えると、消費税額に大きな影響を及ぼしますので、注意が必要です。事務負担の軽減から導入された制度ですが、実は、税理士泣かせの複雑でやっかいな側面を持ち合わせています。
ただしこの制度ですが、適用すると2年間は適用し続けなければなりませんので、適用にあたっては慎重に判断しなければなりません。